悪意の遺棄

家出する場合

悪意の遺棄とは、わかりやすく言えば、「ある事実を知っていながら放っておくこと」を言います。

「悪意」とは、一般的に理解されている悪意とは異なり、法律用語で「ある事実を知っていること」を言います。そして、ここでいう「ある事実」とは、夫婦に課される義務のことを指しています。

民法上、夫婦には婚姻したときから、同居義務・協力義務・扶助義務という3つの義務が課せられていて、これらは夫婦である以上、当然に守られなければなりません。つまり、この3つの義務に違反していることを知っていながら、相手を放っておくことを悪意の遺棄と言います。

どのような場合に悪意の遺棄になる?

では、具体的にどのような場合が悪意の遺棄に該当していると言えるのでしょうか?
上記の3つの義務ごとに、それぞれ簡単な例を挙げて見ていってみましょう。

同居義務違反
・特に理由もないのに同居を拒否している
・生活費は送られてくるが、相手がどこに住んでいるのかわからない
・なんの説明もなく家出をしてしまった
協力義務違反
・会社勤めと家事を分担したはずなのに家事を一切やらない
・姑とうまくやっていく協力をせず、一方的に拒絶している
・夫婦間の決めごと(生活費の折半など)を守ろうとしない
扶助義務違反
・収入があるにも関わらず生活費を負担しようとしない
・別居前に約束したにも関わらず生活費を送ってこない
・大きな病気をしているにも関わらず医療費を負担しない

悪意の遺棄には該当しない場合

一見すると上記のような同居義務違反による悪意の遺棄のようにも見えますが、下記のように明確な理由があれば悪意の遺棄には該当しない場合もあります。
・仕事上の都合による出張や単身赴任による別居
・破たんしかけた夫婦関係を調整するための別居
・病気や治療に専念するための別居
・健康上の理由から家事をすることができない
・失業中であり生活費を入れることができない

悪意の遺棄

離婚を前提にした別居に要注意

離婚を前提にした別居というのは、実際にもよく見受けられます。
しかし、別居をするのであれば必ず夫婦間で話し合いをした上でするようにしましょう。一方的に離婚を前提に別居をする行為は、同居義務違反による悪意の遺棄に該当するケースも多く、あまり良い行為とは言えません。

なお、どの程度の期間の別居が悪意の遺棄として判断されるかについては、最短でも2ヶ月程度といった裁判例もあり、実際には期間の長短よりも遺棄への意思が重要視されている傾向があります。

また、別居になった過程、別居期間や別居期間中の双方の事情といったものは、離婚における裁判では必ず審理されることになりますので、しっかりと説明できるようにしておくことも重要です。

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